処方箋32:無意識に豊かな骨=『骨リッチ』になれる方法 [医療]
処方箋32 自律神経を整えて無意識に『骨リッチ』になる。
P:
無意識に豊かな骨=『骨リッチ』になれるといわれると興味が沸きませんか?
神経は「中枢神経」(脳と脊髄)と体中に張り巡らされている「末梢神経」に分けられます。
末梢神経は意思によって身体の各部を動かす「体性神経」と意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整する「自律神経」に分けられます。
暑いときに手で仰ぐのは体性神経、汗が出るのは自律神経の働きです。
この自律神経は、交感神経と副交感神経という逆の働きをする2つに分かれています。
交感神経は身体を活発に動かすときに働き、副交感神経は身体を休めるときに働きます。
これらが互いにバランスを取りながら身体の状態を調節していますが、このバランスが崩れることがあり、その原因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、ストレスによる刺激、更年期におけるホルモンの乱れ(更年期障害)、先天的要因などが挙げられます。
R:
全身的症状としてだるい、眠れない、疲れがとれないなど、器官的症状として頭痛、動悸や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、下痢や便秘、冷えなど多岐にわたります。
精神的症状として、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れることもあります。
治療法として、ホルモン剤などによる対症療法や睡眠の周期を整える行動療法などがありますが、ストレスのコントロールと生活習慣の改善(規則的な睡眠と食事)が最も大切なことです。
E:
では、『骨リッチ』になるためにこの自律神経とどう付き合えばいいのでしょうか?
交感神経系の働きが高まると、骨の形成が抑制されるといわれています。
さらに、RANKLという物質の発現をうながし、破骨細胞を活性化するため、骨の破壊・吸収が進みます。
交感神経の亢進→骨の形成低下と骨の吸収の亢進→骨粗鬆症の進行→『骨貧乏』のリスク増大となるのです。
一方、リラックスを司る副交感神経を刺激するとどうなるでしょうか?
マウスの甲状腺に分布する副交感神経を電気刺激した実験では、副交感神経を刺激したマウスの下肢の骨密度の上昇が認められたそうです。
これは、副交感神経の刺激により甲状腺からカルシトニンという骨の吸収を抑制する物質が増加したためと考えれています。
人間で甲状腺を電気刺激することは難しいのですが、食事を飲み込むなどの刺激で甲状腺の刺激効果が期待できます。
P:
というわけで、皆さんも無意識に『骨リッチ』になるためには、交感神経を優位にするよりもリラックスして副交感神経を優位にすることをおすすめします。
また、食事の刺激でも副交感神経を優位にさせる可能性があるので、味わって食事をすることは大切ですね!